序盤戦で激減した岡崎の出場機会。自身初の1試合2ゴールも…
イングランドのサッカー界でよく聞くのは「フットボールの世界の1、2週間はとても長い。1ヶ月もあれば状況は劇的に変わる」という表現だ。
例えば、今季チェルシーの監督に就任したアントニオ・コンテがこの最たる例だろう。開幕からの6試合で3勝1分2敗。すると一部マスコミは、すかさずコンテ監督解任の可能性を報道。だがその後の4週間で5連勝して順位表を駆け上がると、手のひらを返したようにチェルシーをプレミアリーグ優勝の有力候補に推すと同時に、監督の手腕を大きく評価する。
最近の岡崎慎司が置かれた状況もこれと似ており、本人はジェットコースターにでも乗っているような感覚かもしれない。一時は冬の市場でレンタル移籍もあるのではないかと考えられたが、10月後半からはチーム内での自らの居場所を再び見つけ出し、プレータイムが増えているからだ。
開幕戦では先発の座を逃したものの、2試合目からは3戦連続スタメンで出場。しかし9月14日のチャンピオンズリーグ(CL)の対クラブ・ブルージュ戦では、レスターに移籍して以来、初めてベンチ外を経験した。そしてその後の数週間、出場機会はグッと減少。同月20日のリーグカップのチェルシー戦でイングランドにやってきてから初の1試合2得点を決めたにも関わらず、クラウディオ・ラニエリ監督の信頼は得られず、出場時間は増すことがなかった。
だが指揮官は10月3日のサウサンプトン戦で6試合ぶりに岡崎を起用、日本代表FWの存在価値を再認識する。同時に、この試合で精彩を欠いたチームが、リーグと初挑戦となるCLの二足のわらじを履くうえで、「3日おきにプレーするやり方を考えなくてはいけない」とターンオーバー制を採用する重要性にも気が付いたのだった。
またエースのジェイミー・バーディーが開幕からここまでわずか2得点と不調。さらに昨季の攻守の要だったエンゴロ・カンテがいないチームは、前線と中盤の間に大きなスペースが残ってしまうため、ボールのつながりが極端に悪くなっていた。ダニー・ドリンクウォーターやダニエル・アマーティ、アンディ・キングといった現有のMFはその空間を埋める潤滑油的な役割をこなせる選手ではないからだ。