苦戦する予選。カナダ戦で起こった奇跡
1982年スペインW杯に初出場してから28年、ホンジュラスは2010年南アフリカW杯で久々に世界の舞台に立った。過去に出場したこの2大会は2分け1敗、1分け2敗といずれも未勝利、グループステージ敗退に終わっている。
2大会連続3度目の出場となった今大会はフランス、スイス、エクアドルと同居。厳しいグループであることは間違いないが、無様な試合を見せるわけにはいかない。悲願の初勝利を目指し、難敵に挑むこととなった。
82年のW杯には出場したが、ホンジュラスは長らく北中米カリブ海地区の第3勢力以下の存在だった。メキシコ、アメリカの2強にコスタリカが続き、ジャマイカやトリニダード・トバゴもW杯出場を経験したが、ホンジュラスにはなかなかチャンスが巡ってこなかった。
しかし近年、才能豊かな選手が次々に現れ、それに伴って代表のレベルアップにも成功。今ではコスタリカとともに第2勢力を形成するまでになった。
それでも、今予選は苦悩の連続だった。3次ラウンドはパナマ、カナダ、キューバと同じグループとなり、混戦が予想される中、初戦となったパナマとのホームゲームで0-2とまさかの敗戦。
その後もなかなか勝ち点を伸ばせず、第5節終了時点で3位と最終ラウンド進出の圏外に沈んでいた。しかし最終節、2位カナダとの直接対決で奇跡が起きる。自陣を固めて引き分けを狙うカナダをパワーとテクニックで圧倒してシュートの雨を降らせ、8-1の大勝でグループ首位に立ち、突破を決めたのである。
この試合でハットトリックを達成したカルロ・コストリーとジェリー・ベントソンはいずれも190センチ近い長身と高い身体能力を誇るストライカーで、この“ツインタワー”が現代表のストロングポイントの一つ。両サイドからのクロスを2トップに合わせるのが主な得点パターンとなっている。