浦和レッズの株式を三菱重工が取得した【写真:Getty Images】
三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)は31日、浦和レッズの株式の一部を取得することを発表した。
浦和は三菱自動車工業株式会社(以下、三菱自動車)が50.625%の株式を保有して筆頭株主となっていた。だが、同社は今年9月の中間決算で2000億円の赤字を計上したことで、日産自動車株式会社(以下、日産自動車)の傘下に入って経営の立て直しを進めることにしていた。
それに伴い、日産自動車は今月10日に三菱自動車の株式34%を取得して筆頭株主となることを発表した。
日産自動車は横浜F・マリノスを運営する横浜マリノス株式会社の関連会社でもある。Jリーグは規約およびクラブライセンス交付規則で、同一企業が複数のクラブを「子会社」または「関連会社」とするクロスオーナーシップを禁止している。
そのため、日産自動車が三菱自動車の筆頭株主となることによって、浦和と横浜FMに関してクロスオーナーシップの規則に抵触する懸念があった。
三菱重工はこの度、11月中旬に三菱自動車と共同で新会社「ダイヤモンドF.C.パートナーズ株式会社(仮称)」を設立し、同社が浦和の運営を担う。その際の出資比率は、三菱重工が60.8%、三菱自動車が39.2%となる。
ダイヤモンドF.C.パートナーズが保有する浦和の株式は50.6%になり、そのうち30.8%が三菱重工、19.8%が三菱自動車の出資となる。また、残った49.4%をその他の株主が保有することになる。
今回の出資比率の変更により、三菱自動車の出資比率が引き下げられたため、クロスオーナーシップ抵触を回避することになった。
浦和は三菱重工の前身の1社である中日本重工業サッカー部が起源で、のちに三菱自動車工業サッカー部となった。
三菱重工は浦和への出資に関し、「浦和レッズは、旧三菱重工サッカー部を母体として発足し、Jリーグ設立以来,活動をしてきました。こうした歴史的経緯を踏まえ、このたび浦和レッズのさらなる発展に向け、当社としてできる限りの支援・協力を行なうことといたしました」と理由を説明している。
今年6月の時点でJリーグの村井満チェアマンは、当時は資本提携が完了していないため規約への抵触はないとしながらも、今後の展開は注視していく必要があるという見解を示していた。本件はJリーグおよび浦和の取締役会の承認を経たのちに正式発効することとなる。
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