絶対王者の対抗馬候補に浮上したミラン
今シーズンのミランは、スクデット争いにおいて絶対王者ユベントスの対抗馬となることができるのだろうか? 前節キエーヴォとの試合に勝利を収めたあと、会見でそう問われたミランのヴィンチェンツォ・モンテッラ監督は、シーズンのこの段階でそういった話をするのは早すぎるとして質問をかわしていた。
確かに、今シーズンはまだ8試合を終えただけでしかない。今回の試合の結果がどうであれ、タイトルの行方に直結するわけではないのはモンテッラ監督の言うとおりだろう。とはいえ、このミラン対ユベントスというカードに多少なりとも「スクデット争い」というワードが見え隠れするだけでも非常に久しぶりのことだ。
第3節という早い段階で対戦が組まれた2シーズン前には両チームが2連勝同士で激突したが、さすがに優勝争いをどうこう言うのは今回以上に早すぎた。2012/13シーズンの後半戦には今回と同じ1位と3位の対戦だったが、残り6試合ですでに15ポイント差がついており、終戦ムードの中での対戦だった。ミラン対ユベントス戦が本格的に優勝を争う一戦だった例は、2011/12シーズンの後半戦まで遡る。サリー・ムンタリの“幻のゴール”が騒動となった試合だった。
かつてイタリアでも欧州でも頂点を争った2チームの対戦から意義が失われてしまったのは、ひとえにミランの凋落によるものだ。ユーベが戦後初のリーグ5連覇を成し遂げた一方で、ミランはここ3年間で8位、10位、7位と、中堅クラスが板についてきた感さえある。
その現状は対戦成績にも表れており、ユベントスはカップ戦も含めてミランに9連勝中。このカードにおける過去の最長記録だった6連勝を塗り替えて以来、ユーベが連勝記録を伸ばし続けている。ミランとしては、屈辱の10連敗だけはどうしても阻止したいところだ。
今季はバルセロナやレアル・マドリー、バイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・シティ、パリ・サンジェルマンなど、各国リーグの優勝候補や開幕から連勝を収めたチームがいずれも勢いに乗り切れず、混戦の上位争いが繰り広げられている。
ユーベが早くも2位を5ポイント引き離したセリエAの優勝争いは、このままでは今季の欧州主要リーグで最も退屈なものとなりかねない。それを阻むことができるかどうかは、ミランの復活が本物であるかどうかに懸かっている。