ヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】
11日、日本代表が敵地でオーストラリアと引き分けました。試合後、日本代表ハリルホジッチ監督の発言が話題になっています。「本田がもっとパフォーマンスが良ければこの試合勝てたと思う」というもので、本田圭佑への個人批判をしているのではないかと読み取る方もいたのではないでしょうか。
結論から言えば、監督に本田を個人攻撃する意図はまったくありません。短い時間でのコメントなので、やや誤解されやすい形になってしまいましたが、その後の公式会見では、意図を明確に説明した上で、同様の発言をしています。
私も出席した公式会見では、本田については「非常に重要な存在。本当に満足している」と高く評価しています。『1トップ起用というある種のサプライズに対し、本田は監督の望むパフォーマンスを発揮した』、そのような感想を監督は持っていると私は解釈しました。
実際に「サプライズを起こした、上手くいきかけた」と発言しています。その後、選手たちに対し『クラブでのポジション確保、出場試合数の増加』を求めたことも明かしています。
ハリルホジッチ監督は、この試合以前から日本代表の海外組が所属クラブで出場機会が少ないことを繰り返し発言し、嘆いています。つまり、この発言は本田について言及しながらも、自身が一貫して述べている『選手たちの出場試合の少なさからくるパフォーマンスの低下』を主張しているに過ぎないのです(このことは、話題となった当該記事でも触れています)。
ようするに、本田への批判の意図はまったくなく、むしろ『ACミランでがんばれよ』というエールであると同時に、『日本代表は難しい状況の中で最終予選を戦っている』という主張を暗に示しているのです。意地悪な見方をすれば、監督は自分の言いたいことを言っているだけ、とも受け取れます。
このような難しい状況は本田に限らず続くでしょうから、そういう中でどうやってチーム力をアップさせるかが監督の責務でありますし、あまり繰り返し言うと言い訳にしか聞こえないので結果で示してほしいと強く思いますが、本田を個人批判していないことだけは確かです。
(取材・文:植田路生【メルボルン】)
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