豪州代表、対戦成績では劣るも日本への「恐れ」はなし
豪州は、本気で日豪戦に勝とうと臨んでくる。“アンジ革命”により生まれ変わった豪州には、もはや日本に対しての「リスペクト」はあれど「恐れ」はない。
試合前日会見で、アンジ・ポスタコグルー監督と主将のミレ・ジェディナク(アストン・ヴィラ)の2人が口を揃えて「お互いがお互いをリスペクトする関係」と語った日豪両国の力関係に、大きな変化の兆しが見えている。日本は、今や、豪州にとっては「ライバル」ではあっても「恐れる相手」ではなくなったことは明白だ。
豪州には、アジア王者としてのプライドと自信がある。そして、10年前の日本にとってのトラウマ、“カイザースラウテルンの惨劇(豪州的には歓喜と呼ぶべき)”は、現場に立ち会ったティム・ケーヒル(メルボルン・シティ)、マーク・ミリガン(バニヤス)を除けば、もはや、昔語りに過ぎない。
さらに言えば、直近の日豪戦(14年の長居での親善試合)は、現代表選手のうちの8名しかピッチで経験していない。ようは、今の豪州は日本が今まで知るサッカルーズとは完全に別物で、日本への畏敬の念は一頃よりは確実に薄れている。
しかも、その自信を過去のデータも後押しする。06年のW杯での対戦以降、日豪がアジアの覇権を争ってきた10年間の日豪戦の対戦成績をおさらいしておこう。
対戦成績では、全部で8回対戦して日本が3勝1敗4分け(筆者注:07年アジアカップ準々決勝の日本PK勝ちは、ドローでカウント)と日本優勢。しかし、これをW杯最終予選に限定すると、4試合で豪州の1勝3分けと様相は一変する。アジアカップでは2度戦い2度の苦杯を舐めさせられた豪州だが、W杯最終予選では日本に負けがない。こういうデータも、ここ最近の情勢と相まって豪州の自信を下支えしている。