大一番を前に酒井宏樹、長友佑都が離脱。サイドバックの人材難に
2005年2月の2006年ドイツW杯アジア最終予選初戦・北朝鮮戦の大黒将志(山形)の決勝弾、2011年9月の2014年ブラジルW杯アジア3次予選初戦・北朝鮮戦の吉田麻也(サウサンプトン)の勝ち越しゴールと、埼玉スタジアムメイン側から見て左手のゴールは過去に数々のミラクルを起こしてきた。
6日の2018年ロシアW杯アジア最終予選・イラク戦(埼玉)で生まれた山口蛍(C大阪)の劇的決勝点もまさにそう。ホームで二度続けて白星を逃せば、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の進退問題が浮上するのは必至の情勢だったが、日本はギリギリのところで踏みとどまったのだ。
しかし、グループBはオーストラリアとサウジアラビアが勝ち点7、UAEが勝ち点6で、UAEとの直接対決で敗れた日本は同6ながら暫定4位。依然として厳しい立場にある。だからこそ、11日の次戦・オーストラリア戦(メルボルン)が重要になってくる。序盤の出遅れを取り戻すためにも、もはや負けは許されない状況にあると言える。
日本の命運を大きく左右する大一番を前に、彼らは「サイドバック難」に見舞われている。ここまでの序盤3試合で2枚の警告をもらい、次戦出場停止になった酒井宏樹(マルセイユ)がまずはチームを離脱。
オーストラリア移動前の7日には、長友佑都(インテル)が実戦形式の練習中に槙野智章(浦和)と激突して頭を強打。トレーニングを取りやめた。練習後には淡々と歩いてバスに乗り込む姿が見られ、とりあえず指揮官らを安堵させたものの、結局、現地へは行かずに代表を離れることが日本サッカー協会から発表された。
アルベルト・ザッケローニ体制では、内田篤人(シャルケ)と長友が絶対的主力に君臨し、こうした問題は滅多に起こらなかった。が、内田はひざ負傷で約2年間公式戦から遠ざかり、長友もブラジル大会以降は心身両面のトラブルが頻発している。
酒井宏樹・高徳(HSV)が所属クラブで定位置を確保しているのは明るい材料ではあるが、以前に比べるとかなり選手層が薄くなった印象は否めない。こうした背景を踏まえ、オーストラリア戦のサイドバックをどうするかは目下、チームにとって極めて重要な課題になっている。