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地獄から生還した韓国。窮地を救った指揮官の采配とエース・ソンフンミンの輝き

日本と同日、韓国はカタールをホームに迎えていた。勝ち点4ながらシュティーリケ監督が謝罪に追い込まれるなど、韓国は異様な緊張感のなかにあった。カタール戦も逆転される最悪の展開。窮地を救ったのは……。(取材・文:キム・ドンヒョン【水原】)

text by キム・ドンヒョン photo by Getty Images

韓国も異様な緊張感。指揮官が謝罪する場面も

ウリ・シュティーリケ監督
ウリ・シュティーリケ監督【写真:Getty Images】

 10月6日、日本がイラクとの一戦に臨むころ、筆者は水原ワールドカップ競技場にいた。10月とはいえ異常なほどの暑かった日中を過ぎると、少し体が冷えるほどの空気が漂っていた。その寒さの影響なのか、観客席はところどころに空席も多く見られる。

 しかしながら先発のラインアップが紹介され始めると水原ワールドカップ競技場の熱気が徐々に沸き上がり、ク・ジャチョル(アウグスブルク)、キ・ソンヨン(スウォンジー)の名前に継ぎ、プレミアリーグで5試合5ゴール大爆発ソン・フンミン(トットナム)が呼ばれると大歓声がスタジアムを包む。

 キ・ソンヨンが試合前日会見で「イングランド3部でもこんな芝を見たことがない」と猛批判したくらいピッチ状態は劣悪だったが、芝の状態にとやかく言っている場合ではない。韓国にとってこの試合は絶対落とせないからだ。

 9月の2連戦で中国に勝つもアウェイのシリアにスコアレスドローに終わる。比較的“弱体”と見られた国に2連勝を飾れず、勝ち点は4にとどまった。今回のメンバー招集会見ではウリ・シュティーリケ監督が「人選にミスがあった」と謝罪する場面もあったほど、異常な危機感があったのは事実だ。

 この日の相手はグループ最下位に沈むカタール。先制されたら、そのままピッチに倒れてしまう可能性も高い。だからこそ先制点がどの試合より重要になってくる。シュティーリケ監督も「相手にピッチを“ベッド”として使わせるわけにはいかない。先制点がまず大事。そして勝たなければならない」とる強い意気込みを語った。

 その熱い気持ちが反映されたかのような超攻撃的な先発メンバー。192cm、韓国のズラタン・イブラヒモヴィッチごとソク・ヒョンジュン(トラブゾンスポール)が1トップ、左にソン・フンミン、右にはチ・ドンウォン(アウグスブルク)、トップ下にク・ジャチョルとキ・ソンヨンが並ぶダブルトップ下。実質5トップに近い布陣である。

 運動量が豊富で積極的な守備も持つク・ジャチョルがやや下がり、キ・ソンヨンを攻撃の起点として試合を作っていく。そしてイングランドでベストコンディションを維持するソン・フンミンを最大限に活用しようとするシュティーリケ監督の腹案ではないか。

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