イタリア、ブッフォンの凡ミスで失点。スペインは監督交代が奏功
後半10分、セルヒオ・ブスケツが縦にスルーパスを放つ。マッティア・デ・シーリオの視野から逃れてビトロが裏のスペースへ走るが、そのコースには百戦錬磨のジャンルイジ・ブッフォンが立ちはだかる。そのままエリアを飛び出してクリア…となるはずが、なんと空振り。労せずしてビトロはボールを無人のゴールへと転がした。
「いろんな考えが頭をよぎった」と、ブッフォンは試合後地元紙に語った。ロシアW杯欧州予選G組、一位通過のライバルと見なされているスペインをホームに迎えた一戦で、イタリアはこのようにしてビハインドを負った。
堅守は伝統である。相手にポゼッションを譲り、前半のポゼッション率は27%と大きく落ちながらも、ゴールを割られていないのはさすがこの国の代表チーム。実際ブッフォンがギリギリのセーブでしのいだシーンもなく、彼が珍しい凡ミスを犯すまでスペインは点を取れなかった。
しかし、イタリアがプラン通りに試合を運んでいる印象は受けなかった。相手に主導権をあえて譲るというのは一つの手段だが、イタリアはカウンターで攻め込めていた訳でもなく、むしろスペインにそれを封じられて攻め込まれ続けた。EURO2016の対決を経て監督交代に踏み切った両チームだが、上手く行っているのはスペイン、ものになっていないのはイタリアという印象だった。
フレン・ロペテギ新監督のもと、スペインは見てはっきりと分かるほどスタイルに改良を加えていた。細かいパスワークという持ち味はそのままに、縦方向を意識してスピードを上げる攻撃と、ボールを奪われた後での素早いプレスを加えている。次々とイタリアにカウンターを許したEURO2016と違い、カウンターに至る前に戦術的に潰すプレーがちゃんとできていた。