「みんな雰囲気がジーコに似てるっていうけど、僕はそうは思わない」
2010年南アフリカワールドカップの命運を左右した初戦・カメルーン戦で、本田圭佑の先制点をアシストした松井大輔(レヒア・グダンスク)。彼は2010年10月のザックジャパン発足当時はもちろん日本代表メンバーに名を連ねていた。イタリア人指揮官は就任当初、南アの主力をベースにチーム作りをしようと考えていたのである。
「ザックさんは最初に『日本代表の1ページを作っていこう』という話をしてました。みんな雰囲気がジーコに似てるっていうけど、僕はそうは思わない。戦術も厳しいと思うから、早く理解できるようにしたい。
戦術練習も多くなるだろうし、約束事も規律もいっぱいあると思う。ヨーロッパの監督はそういう傾向があるから」とフランスで長年癖のある外国人監督に仕えてきた松井は、欧州経験豊富な分、大きく構えているようだった。
ところが、最初の合宿中に左足に違和感を訴えて別メニューを強いられ、8日のアルゼンチン戦は欠場を余儀なくされる。この試合で松井の代役として出場した岡崎慎司が決勝点を挙げたのが、運命の分かれ道だったのかもしれない。もちろんこの時の松井はその後の自分がどうなるかなど一切考えず、12日の韓国戦(ソウル)に向けて懸命に調整していた。
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