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知られざる韓国軍隊チームの内実。元Jリーガーが語る“入隊したからこそ分かったこと”

韓国には兵役の義務がある。たとえスター選手であろうとも、入隊しなくてはならない。そういった選手たちのために軍隊管轄のチームが存在する。日本では知られていない軍隊チームの内実とは何か。元Jリーガーに話を聞き、知られざる一面に迫った。(文:キム・ドンヒョン【城南】)

text by キム・ドンヒョン photo by Kim Donghyun

意外にも軍隊チームに溢れる自由な空気感

韓国
自由な空気が漂う軍隊【写真:キム・ドンヒョン】

 韓国は兵役が義務化されている。サッカー選手も同様だ。現役中でもその義務がなくなることはないが、軍隊クラブはどのような実態があるのか。まずは警察チームの「アンサンム(安山)グンファFC」(ムグンファは槿のこと、韓国の国花)を尋ねた(もう1つの軍隊クラブはサンジュ・サンム(尚州尚武)FCという)。

 安山FCはかなりの異彩を放つクラブだ。ホームタウンは首都圏の安山を使いながらも、トレーニングセンターは韓国の中部、アサン(牙山)にあるからだ。ソウルからおよそ高速で2時間くらい走り、山の奥に向かうと安山FCがトレーニングセンターとして使っている韓国警察大学に着く。

 韓国警察大学はヨンイン(龍仁)から去年、この牙山に移転したばかり。幸いながら安山FCも去年からはこの牙山をホームグラウンドと使うため、名前と地域の不一致を解消するうえに、今よりもサッカーに集中できる環境が整った(もちろんクラブ名も牙山FCに変更する)。

 ソウルから少し遠くはなったが、施設は豪華。警察大学全体が新築で中でも安山FCのための施設は際立っている。2面の天然芝を完備し、食堂付き寮もある。2人一室の部屋にはすべてシャワー施設、トイレ付き。Kリーグトップクラスのクラブハウスにそん色ないくらいだ。

 クラブの雰囲気も軍隊チームとしては想像していなかったほどフリー。軍隊特有の厳格さを想像していた筆者にとっては衝撃のような場面が連発した。食堂で選手たちの賑やかな素振りはそれこそ“一般社会”での行動と違いがないほど。

 クラブを管理するチョン・イソップ小隊長は「規律さえ守れば問題ない」と彼らのプロ意識を讃える。

「彼らは昔から軍隊並みの生活をしてきた。だから自己管理に関しては軍隊の規律を妨げない限り、フリーに任せている」

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