苦肉の策である2ステージ制への移行
その苦悶に満ちた表情を今でもはっきりと覚えている。「うーん、それは……まいった。ようやく話が上手くいきそうなんだ。まいったなぁ……」
Jリーグの中西大介競技・事業統括本部長(当時、現常務理事)は前のめりになっていた体を椅子の背もたれに預けた。時は2013年10月、本誌がまだ『サッカー批評』という名前であった当時、編集部は中西への独占インタビューを行っていた。Jリーグはその1ヶ月前に、15年シーズンからの2ステージ制への移行とポストシーズン(以下、PS)の導入を決定しており、中西はその旗振り役であった。
編集部は2ステージ制への移行に反対だった。次号の表紙では2ステージ制へ否定的な言葉を使うとはっきりと伝えたところ、冒頭の言葉だ。
中西は苦しい立場にあった。Jリーグは14年シーズンより最大13億円の減収が見込まれ、金策に追われていた。2ステージ制とPSの導入は減収を食い止めるための改革案であり、結局Jリーグはこれにより23億円を調達した。下げ幅を超えて10億円の増収を確保したのだ。
中西はJリーグが一般層からの関心が少なくなっていることも強調し、「有効な手立てがない。泣く泣く大会方式を動かした」と語っている。Jリーグは社会的関心の薄まりがスポンサー離れを招くという負のスパイラルに陥っていた。
Jリーグはメディアを通して経済的問題をあげながらサポーターへ理解を求めていた。そのような状況下で、大東和美・前チェアマンは興味深い発言をしている。