“幻のゴール”のリベンジ
浅野拓磨のゴールが生まれたのは、日本が1点をリードして迎えた後半30分だった。タイのGKカウィンが蹴ったロングボールを吉田がジャンプヘッドで跳ね返し、原口元気と香川真司の間を抜けたボールは一度タイのDFトリスタンのもとにこぼれるが、ミスキックを長谷部誠がカットすると、バウンドした瞬間に右足で大きく蹴り出した。
そのタイミングで縦に走り出した浅野はセンターバックのタナブーンに先回りされながらも、クリアされる瞬間に頭でマイボールにする。バランスを崩したタナブーンを振り切りGKと1対1になると、足元を狙ったシュートはカウィンの体に当たったものの、気持ちが乗り移ったかのようにゴールに吸い込まれた。
浅野にとってはUAE戦でゴールラインを割ったはずのシュートがレフェリーに見逃された“幻のゴール”のリベンジとも言える、A代表ではキリンカップのブルガリア戦以来となる2点目。原口元気のゴールで早い時間にリードしながら、なかなか追加点を奪えないもどかしい状況にあった日本の勝利を決定付けた。
「ちょっと自分の動きとタイミングは遅れましたけど、最後の力というのは出し切って、ボールもルーズでしたし、何とか頭で触ったらマイボールにできるかなと思っていました」
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