日本代表は1日、ロシアW杯アジア最終予選でUAE代表と対戦し1-2で敗れた【写真:Getty Images】
日本代表は1日、ロシアW杯アジア最終予選でUAE代表と対戦し1-2で敗れた。
チャンスの数自体は日本の方が圧倒的に多く、早い時間に先制ゴールも奪った。そういった展開で勝たなければいけなかった試合を落とした原因はどこにあったのか。6つのポイントに絞って分析する。
1.直前の負傷者続出
当初24人のメンバーに含まれていた長友佑都と槙野智章が負傷のため招集を辞退。さらにUAE戦直前になって柏木陽介と昌子源に負傷が発覚するなど離脱者が相次いだ。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の起用プランに狂いが出てしまったが、数人の負傷を敗戦の言い訳にしてはならない。
2.調整不足とコンディションのばらつき
UAEは日本戦に向けて2ヶ月間みっちりと対策を練ってトレーニングを重ねてきたが、日本代表がチーム全体で練習できたのはたった2日間だった。しかし、数年間ほとんどメンバーを変えずに戦っている日本が連携不足を見せてはならない。
懸念すべき点は各選手のコンディションのばらつきだった。香川真司のように予定を前倒しして合流した者もいれば、武藤嘉紀のように負傷から復帰途中の者、宇佐美貴史や浅野拓磨のようにしばらく試合に出ていない者、清武弘嗣のようにクラブの日程の都合で試合出場と移動で疲弊している者など、チームのバランスを欠きかねない事態に陥っていた。
3.ワンパターンな攻撃
まずは中央を細かいパスで崩そうと試み、それが停滞すればゆっくりとサイドへ展開する。90分間同じペースで同じパターンの攻撃を続け、相手にとって最高に守りやすい展開を自ら作っていた。おそらく日本の攻撃は全て相手守備陣に読まれていただろう。
選手交代策も謎が多い。相手を押し込んでいる段階でスペースを必要とする浅野拓磨を投入するも、攻撃パターンを変えることなく何の工夫もないクロスをサイドからむやみに放り込むばかり。コンディションに不安があるとはいえ、勝つために必要だったセットプレーのキッカーである清武弘嗣を下げたことも疑問が残る。もっとも、ハリルホジッチ監督が就任当初から掲げてきた速い攻撃とはなんだったのか。いまやアルベルト・ザッケローニ監督のチームがピッチ上に見える。
4.守備組織の構築は手つかず
日本のDFは個人で相手の強力なアタッカーを止められるだけの力を持っていない。にもかかわらず、組織立って守る様子はいつまでたっても見られない。プレスのスタート位置、ボール奪取の狙いと位置、ボールホルダーとの距離の取り方などが曖昧で相手にやりたいようにやられていた。
カウンターを仕掛けられた際、日本のDFが相手のアタッカーにスピードで振り切られる姿を我々は何年間見てきただろうか。この既視感はハリルホジッチ監督でも拭い去れないのだろうか。不用意にボールを奪われて守備陣がばたつく場面はもう見たくない。
5.審判団の不可解なジャッジ
審判の判定を言い訳にしてはならないのは明白だが、あまりにもひどかった。後半、浅野拓磨のゴールが認められなかったのは明らかな誤審。他にもUAEに対して有利な判定や、思わず首をかしげる判断が多かった。
そもそもUAE代表の試合に隣国のカタール国籍を持つ主審が割り当てられること自体、おかしなことだと訴えなければならない。地理的なつながりだけでなく、文化的、宗教的なつながりもある両国が選手と審判として同じピッチに存在すべきではなかった。それでも繰り返すが、審判の判定を言い訳にしてはならず、どんなことがあっても勝たなければならない試合だった。
6.自分たちのサッカー
試合後、選手たちが語った敗戦の弁はどれも自分たちのクオリティに関することばかりだった。自分たちが見せたいサッカーではなく、いまの日本には「相手をどう倒すか」という視点が足りていない。その点に関してUAEには「相手」への意識が徹底されており、当然のゲーム運びをしていた。
ハリルホジッチ監督が記者会見で「若い選手は夜のミーティングで寝てしまうということもあった」と語ったのは、疲労が溜まっていることを除いても大問題と捉えなければならない。対戦国を分析してしっかりと対策する意義を理解していれば居眠りなどしないだろう。サッカーには常に「相手」がいることを意識していないから今回のように足もとをすくわれるのではないだろうか。
【了】