「日本で成長した姿をみんなの前で証明したい」
最愛の家族、自らを成長させてくれたガンバ大阪、そしていまも敬愛してやまない大先輩へ。3つの感謝の想いを胸中に秘めながら、DFオ・ジェソクは母国・韓国に降り立った。
中国代表をソウルワールドカップ競技場に迎える、9月1日のワールドカップ・アジア最終予選初戦へ。悔し涙を乗り越えて韓国代表デビューを目指す26歳は、帰国前から武者震いを抑えきれなかった。
「ワールドカップ・ロシア大会につながる最終予選なので。試合を見るだけで日本へ帰ってくるのももったいないから、1試合でもいいので出場して、日本での4年間で成長した姿をみんなの前で証明したい」
西ドイツ代表としてワールドカップ・スペイン大会に出場した、ウリ・シュティーリケ監督に率いられる韓国代表に招集されるのは今回で2度目になる。レバノン代表をホームに迎えた今年3月のアジア2次予選へ向けて届いた吉報は、直後に悪夢へと変わってしまった。
韓国サッカー協会が代表メンバーを発表した3月14日。オ・ジェソクはガンバの一員として、上海上港(中国)とのACLグループリーグ第3節へ向けて敵地に入っていた。しかし、好事魔多し。一夜明けた15日の一戦の前半35分に、左太ももを痛めて交代を強いられてしまう。
精密検査の結果は左外側広筋筋膜炎。戦線離脱とともに、同21日に合流する予定だった韓国代表を辞退せざるをえなくなった。凱旋帰国を心待ちにしていた両親へ、電話で無念の思いを伝えた。
「僕自身もショックだったし、両親も本当に楽しみにしていたと思うんですけど……。ただ、残念な思いを僕には伝えたくなかったのか、電話では『大丈夫だよ。次があるから』と励ましてくれたんですけど、電話を切ったあとに母は泣き出してしまったと、後になって兄や姉から聞かされました」