初のビデオ判定でレッドカードが【写真:Getty Images】
野球やアメリカンフットボールのように、ビデオ判定の波がサッカーにも押し寄せている。しかもプロ史上初の事例は、スポーツ先進国アメリカで確認された。
英『ミラー』などの報道によれば、現地時間12日に行われたユナイテッド・サッカーリーグ(USL、米3部相当)のニューヨーク・レッドブルズII対オーランド・シティBの試合で、ビデオ判定が実施される場面が2度あった。
最初に使用されたのは35分、オーランド・シティBのコナー・ドノバンが相手のジュニオール・フレミングスを自陣ペナルティエリア際で後ろから倒したシーンだった。PKと間違えやすい難しい場面でビデオ・アシスタントレフェリー(VAR)を呼び出したイスマイル・エルファス主審はフリーキックの判定こそ変えなかったものの、ファウルを犯したドノバンにレッドカードを提示している。
2度目は終盤の83分、今度はNYレッドブルズIIのフロリアン・ヴァロットに対する反則の場面でVARが呼び出されビデオ判定が行われた。その結果オーランド・シティBのカイル・マクファーデンにイエローカードが提示されている。同選手はその後2枚目の警告を受けて退場してしまった。
ビデオ判定によって“より正確な”判断が下り、2人の退場者を出したオーランド・シティBは1-5の大差で敗れている。USLでは2018年に国際サッカーでVARを本格導入するための試験が行われており、今回が初めての活用事例となった。
結果的に試合を決定づける2つの判定に影響を及ぼしたが、勝利したNYレッドブルズIIのジョン・ウリニエク監督は「これはテクノロジーで可能な限り前進しようとしているMLSやUSLにとって名誉なことだ。我々は自分たちを革新的かつ積極的で、先進的なチームだと思っているので、進歩の一部になれたことを嬉しく思う」と、ビデオ判定導入に肯定的な姿勢を示している。
今後USLで行なわれている試験導入でVARの活用事例が増えれば、他のリーグや大会でも将来的なビデオ判定の導入が検討されていくと見られる。いまだ試合の流れを止めてしまうなどの課題は残るが、誰もが納得しない誤審の減少などの効果が期待される。
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