初昇格のクロトーネ、EUROのイタリア代表に4人を輩出
史上最弱と言われ、今回のEUROではグループリーグでの敗退も懸念されたが、終わってみればベスト8という成績を残したイタリア代表。振り返ってみれば、競争力が不安視されていた面々が頑張った。FWグラツィアーノ・ペッレは強豪相手の対戦にも安定したポストプレーを保証。MFアレッサンドロ・フロレンツィは、スピードと献身的な上下動で故障したMFアントニオ・カンドレーバの穴を埋めていた。
さて、そんな両者にはある共通点があった。年代は異なれど、キャリアの下積み時代にクロトーネでプレイーた経験があるのだ。南部カラブリア州に位置する同名の都市がホーム。かつてはギリシャの殖民都市として栄えたが、現在の人口は62300人と小さな街のクラブだ。ホームスタジアムのエツィオ・シーダの収容人数は9547名という小規模クラブは、1910年の創立以来初のセリエA昇格を果たした。
そんな小さなクラブでのプレー経験者が代表の主力に2人もいたということでも十分驚きだが、話はそこに止まらない。今回のメンバーの中にはDFアンジェロ・オグボンナ、MFフェデリコ・ベルナルデスキもクロトーネでのプレー経験がある。
さらにセリエAに目をやれば、わりと名の知れた選手がここでプレーている。ミランやインテルなどの強豪から度々ゴールを奪ったサッスオーロのFWニコラ・サンソーネ、ラツィオの明日を支える若手と称されるMFダニエレ・カタルディなどもそう。少し前に遡れば、ミランで2桁ゴールを経験したことのあるMFアントニオ・ノチェリーノもここでのプレー経験があった。
これらの選手はキャリアの下積みの際に、1年ないしは2年間のスパンでレンタル移籍でクロトーネに送り込まれている(ペッレは半年)。このクラブは、他クラブ所属の若手を受け入れ経験を積ませる場に徹することを通して力をつけたのだ。