いたってシンプルなポルトガルの指導
ポルトガルでは「軸足はこう置いて、当てるポイントはここ、上半身はこうかぶせて……」といった指導光景は、ほとんどお目にかかりません。例えば蹴る技術を指導するときは「(彼の右足とか、ゴールのサイドネット)へ飛ばせ!」、シンプルにこれだけ。
悪く言えば大雑把ですが、最初に求めるのは一番大切なこの目的の部分です。指導者は「○○へ飛ばせ!」と目的を伝えるだけで、そのキックがどんな種類であれ、どちらの足であれ関係ありません。
ポルトガルはヨーロッパの中でも経済的に裕福でなく、ストリートサッカーで人材を輩出してきた国。ストリートサッカーで苦手な足を矯正させられたりはしません。ただし、蹴れないとやがてついていけない場面はどこかで生じます。ポルトガルでは、その経験が大切だと考えられています。
現在はその環境も減少してきており、有能な人材の育成について国として危機感を抱いています。そこで今ベンフィカではクラブ内の練習でストリートサッカーの環境をつくることにチャレンジしています。
例えば「苦手な足の習得」というテーマで練習を組み立てるとしたら、練習において、その足を使わないと得点できないような状況をつくります(ストリートでゴールなしのパス練習はありえません。シュート練習でトレーニングを組み立てます)。
図1はシンプルにポールをスラロームしてのシュート練習です。この練習でポールをスラロームしたあと、右足で蹴ろうとすると、ぐるっと回りこまなくてはいけないので時間がかかり、競争形式では相手に負けてしまいます。子どもたちは、左足を使うことを意識せざるをえなくなります。
続きは『ジュニアサッカーを応援しよう!』にてお楽しみください。