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育成年代の頂点・インカレ決勝に見る大学サッカーの存在意義とは?(後編)

1月6日、国立競技場で大学サッカー選手権大会の決勝が行われた。大学サッカーは育成年代の頂点に位置する。そのカテゴリーでの日本一を決める大会から見えてくる、大学サッカーの存在意義とは?

text by 後藤勝 photo by Masaru Goto

【前編はこちらから】

勝負のスイッチとなったDF牟田雄祐の前線起用

 精神と守備の安定が早稲田大学の勝因であることに疑いの余地はない。最優秀選手にこそフォワードの富山が選ばれたが、福岡大学と二人ずつを分けた優秀選手に、早稲田大学からはディフェンダーの山地翔と松澤が選ばれている。

 一方、福岡大学からは攻撃の選手である清武功暉(サガン鳥栖に加入内定)と岸田和人が選ばれた。このこともまた、早稲田大学の守備が機能していたことを象徴している。

「早稲田は守備の意識を高く持っているチームだと思う。今回は山地くんや自分が選ばれましたけど、やっぱり前線からの守備があって後ろにつながっているので、チーム全体の守備意識の高さがこの結果につながった。今回はディフェンスとキーパーが選ばれる形になりましたけど、全員の守備意識のおかげだと思います。四試合で2失点と、守備は安定していました」(松澤)

 早稲田大学は守備だけでなく、攻撃、試合運びについても充実していた。
乾監督は「右サイドから中に入ってくることも情報としては入っていたがどんぴしゃ、この場で出されてしまった」と失点場面を振り返った。

 また、3失点目を76分という時間に決められたことについては、こう反省している。
「後半終わりまでに同点に追いつけばいいという展開でしたが、牟田が上がった瞬間にやられました。富山くんが空いちゃったということですからね、勝負に出たということだと思います。選手のミスというより、ぼく自身がうまくゲームをコントロールできなかった。申し訳ないと思います」

 2-1のまま推移し、終盤、パワープレーに移行して追いつければとの青写真どおりにはいかなかった。牟田が上がった時間が、若干早かったのかもしれない。

 昨年、特別指定制度での試合出場はなかったものの、名古屋グランパスの練習に参加して国内トップレベルのサッカーを体感した牟田は、試合後のミックスゾーンで何度も何度も「自分に力が足りなかった」と繰り返した。

 早稲田大学の富山は、清武らとは話したものの、牟田があまりに憔悴していたので、彼には声をかけなかったのだと言った。それほどに牟田はキャプテンとして責任を痛感していた。
誰がやられてもおまえがカバーしろ、その責任を持ってサッカーをやれ。乾監督の教えを守れなかったことが悔いを残していた。

 名古屋の練習に参加した際、一ディフェンダーの枠を超えてチームを牽引し、試合を決めてしまう田中マルクス闘莉王のすごさを肌身で知った。乾監督も、常々選手を国際的な基準で評価すると言っている。それだけに理想と現実の隔たりが堪えた。

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