チェコスロバキア解体後の明暗
優勝候補の一角ベルギーを破ってベスト4入りしたウェールズと、同じく前評判の高かったイングランドを零封して準々決勝を果たしたアイスランドは、今大会の大注目チームだ。だが今回は、ラウンド16でひっそり消えた好チームを取り上げてみたいと思う。スロバキアだ。
イングランド、ウェールズ、ロシアと同じグループBに属し、ロシアに勝利、ウェールズに敗戦、そしてイングランドとは引き分けて、ユーロ初出場ながら3位で決勝トーナメント進出を果たした。
ラウンド16でドイツに0-3で敗れて彼らの挑戦は終わったが、初出場にしてこの結果は、2010年のワールドカップ初出場に次ぐ大きな成果だ。
チェコスロバキア時代は、1962年のワールドカップで準優勝、1976年のユーロは決勝戦でPK戦の末ドイツを破って優勝と、欧州で一時代を築いたこともあった。
しかし1993年にチェコとスロバキアに分離。直後の1994年ワールドカップ予選は、チェコスロバキア連合軍のまま出場したが(予選敗退)、その後はそれぞれ独立し、チェコ代表、スロバキア代表として国際大会に参加するようになった。
チェコスロバキア時代の基盤、組織、設備、人材などは、国の解体後、ほとんどがチェコ側の所有物となった。よって、チェコサッカーには大きな変動はなく、解体後間もない1996年のユーロでは準優勝を収めている。ネドヴェドやポボルスキーらがいたチームだ。
しかし一方のスロバキア代表は、その頃は「国際大会出場など、いつの話だろう」という状態にあった。