デシャンが見せた執念。ただひたすらに勝利を導く“スタイル”
攻撃の軸として活躍するオリビエ・ジルー【写真:Getty Images】
ディディエ・デシャン監督が見せる勝利への執念は自国開催のフランスW杯での優勝、勝利至上主義のイタリア・ユベントスでチャンピオンズリーグを選手として制した経歴から生み出されたのだろう。
監督としてもマルセイユでリーグカップを制し、カルチョ・スキャンダルでセリエBに降格を余儀なくされた古巣を1年で昇格させたことからもその執念、そして結果を出すという精神は見て取れる。
ベスト16のアイルランド戦。前半アイルランドのフィジカルと圧力に後手を踏むと、エヌゴロ・カンテを迷わず交代させ、システムも4-3-3から4-2-3-1へと変更。アントワーヌ・グリーズマンをトップ下へと移し、勝利をもぎ取った。特定のフォーメーションにこだわらず、ただひたすらに勝利を導く。それこそがデシャン監督の“スタイル”なのだろう。
“ジャイアント・キリング”を狙うアイスランドとの一戦となったベスト8でも4-2-3-1を継続させた。結果も内容も申し分なくベスト4へと進出した。
流れの中の攻撃では1トップに起用されているオリビエ・ジルー、トップ下で動くグリーズマンのコンビネーションで崩すシーンが多く見られた。この試合のグリーズマンのヒートマップを見ると、アイルランド戦よりも中央にプレーエリアが寄っていることが分かる。
ジルー、グリーズマンに加えて左サイドのディミトリ・パイエも中に侵入し、攻撃を活性化させた。先制点は中に入ったパイエの落としをブレーズ・マテュイディがロングパス。ジルーが抜け出したもの。4点目も縦パスをジルーがフリック、グリーズマンが抜け
出して冷静にループシュートで決めた。
パイエ、グリーズマン、ジルーを中心とする流れの中での攻撃だけでなく、3得点を奪ったセットプレーで得点を奪い切る力、アイスランドが得意とするカウンターを防いだ切り替えの早さも目立っていた。