ピッチ上では完成されていない“タレント集団”
4年に一度、ヨーロッパの大陸王者を決める戦いもベスト8へと突入した。その第2試合で激突するのは、今大会の優勝候補にも推されていたベルギーと初出場で快進撃を続けるウェールズの2チームである。
純粋な戦力を見れば、エデン・アザールを筆頭に各ポジションに現在の欧州サッカーシーンを賑わせる才能を有するベルギーに対してウェールズはギャレス・ベイルという最高クラスの選手は擁しているものの、中盤のデイビッド・エドワーズやクリス・グンター、FWのサム・ヴォークスらは昨シーズンをイングランド2部で戦っている。
実際、ベッティングサイト『ウィリアム・ヒル』が付けたオッズは、ウェールズに5.5倍、ドローに3.4倍、ベルギーに1.75倍と明確な差が出ており、ベルギーの勝利が“順当”といえるだろう。
では、ウェールズの挑戦はここで終わりを迎えるのか?
しかし、ここまでの戦いぶりを見ると、決してベルギーの勝利が固いとは言い切れない。確かにベルギーは選手リストを見れば、相手にとって脅威ともいえる威圧感を与えるが、ピッチ上ではまだチームとして完成されてはいない。
アザールやルカク、デ・ブルイネといった選手たちが本来の力を発揮すれば抜群の破壊力を手にするが、あくまで選手次第。チームとしての形がないため、どうしてもムラが生じてしまう。タレント集団にありがちな落とし穴にはまってしまう可能性は低くはない。
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