「停滞感」を打ち破る仙台戦の勝利
「絶対に勝ちます」
ベガルタ仙台戦を控え、強い決意を口にしたのは小林祐希だった。背番号4の言葉を証明するように、ジュビロ磐田は5連勝を目論む相手を粉砕した。3-0の快勝だった。太田吉彰が今季3点目を奪い、アダイウトンは今季自身初の1試合2ゴールを達成。ブラジル人アタッカーのスピードに乗った突破に、アウェイチームはほとんどなす術がなかった。
ゴールが決まるたびにサポーターのボルテージは高まり、試合終了のホイッスルが鳴り響くと、スタジアムには喜びが溢れた。
明治安田生命J1リーグ・1stステージの全日程を終え、磐田は勝点23を獲得。8位に順位を上げてフィニッシュした。
J1復帰初年度のチームとしては上出来だ。常に右肩上がりの快進撃を見せられれば、それが一番良かっただろう。だが、J1の厳しさはJ2の比ではない。その中でしぶとく、粘り強く、そして我慢強く戦ってきた。連敗せず踏みとどまれたことも評価できる。
それでも、第14節から3試合勝利に見放されており、仙台戦の歓喜がなければ、下降ムードのまま前半戦を締めくくるところだった。
「夢見ちゃうよね。『(勝点を)積み上げていたら、俺たち今どのくらいのところにいるんだ』と。そう言えるだけの内容のゲームもあったから。もったいないゲームが多かったね」
名波浩監督は、勝てない時期をこう振り返っている。サンフレッチェ広島を破り、鹿島アントラーズから勝点2を取り上げるなど、ゴールデンウィークの成績は称賛されるべきものだった。強豪からポイントを稼いだことはもちろん、チーム全体から闘志が沸き溢れていたことに大きな可能性を感じさせた。しかしその後、ジュビロ磐田には“停滞”という現実が待っていた。
第14節から3試合連続無得点を経験し、1分2敗に終わった。その時の相手は川崎フロンターレ、FC東京、湘南ベルマーレ。いずれも突出した武器のあるチームだけに、得点を奪えず勝利もできなかったからといって悲観するべきではないのかもしれないが、磐田の選手たちは危機感を募らせていった。