好ゲームが続くピッチ上の戦い
今回のユーロは、毎試合が本当に接近戦だ。スペインがトルコを、ベルギーがアイルランドを3-0で下した以外は、グループリーグの第2回戦終了時点で、ほとんどの試合が同点か1点差だ。決勝点が80分を過ぎた終盤に決まる、という試合も多い。最後の最後まで力がぶつかり合い、ほんのわずかな差で、勝敗が決まっている。
初出場の5チーム、アルバニア、スロバキア、北アイルランド、アイスランド、ウェールズも奮闘している。スロバキアはロシアを下し、ウェールズは初戦でスロバキアを破ったあと、第2戦ではあわやイングランドと1-1のドロー、というところまで食い下がった。スタリッジが90分にゴールを決めて2-1でイングランドが逆転勝ちしたが、ドローのままなら、グループ内首位に立っていた。グループBでは、初出場のこの2チーム、スロバキアとウェールズに、次ラウンド勝ち抜けのチャンスが残っている。
北アイルランドも、初戦はポーランドに1-0で敗れたが、ウクライナを破って、初出場にして初白星をあげた。アイスランドにいたっては、クリスティアーノ・ロナウド擁するポルトガルを1-1のドローに抑え、2戦目もハンガリー戦に1-1のドローといまだ無敗。もっともこの試合は試合終了間際の88分に痛恨のオウンゴールを献上してしまった。これがなければ初白星!となっていたわけだが、試合全体を通してみれば7割近くボールを占有し、果敢にビルドアップを試みたハンガリーにも分があったから、公平な結果ではあった。
唯一、2つの黒星を喫してしまったアルバニアだが、初戦のスイス戦、そして次のフランス戦ともども、決して相手に楽勝などさせず、たっぷり汗をかかせた好戦だった。とくに2戦目の対フランス戦は、地元チームを相手に最後の最後まで懸命に守った。グリーズマンの先制点は、UEFAの記録では90分。
そこで心の糸が切れたのだろう。そのあとパイエに2点目も許したが、がっくりとうなだれる選手たちの姿からは、限界まで力を出し切っていたことがありありとうかがえた。
こんな試合ばかりだから、どのチームにも勝って欲しくなってしまう。負けたチームには心が傷み、傷心の毎日だ。それは選手の懸命さが伝わって来るからで、彼らのピッチ上での真剣さというのは、それだけ人の心に響くものなのだとあらためて思う。
それだからこそ、残念に思うのが、場外の事件だ。