梶原一騎原作のサッカーアニメ
『サッカー批評』にて、連載「日本サッカー戦記」を担当していますが、1月10日発売号での内容を紹介したいと思います。
「日本サッカー戦記」はライターの加部究さんに執筆いただいていまして、日本サッカー史において、後世に語り継ぐべき試合・人物・出来事などを、当事者たちの複数証言をもとに回想しています。
そして、次号でテレビアニメ『赤き血のイレブン』でモデルになった浦和南高校のエースである永井良和さんにスポットを当てました。
永井さんご本人への取材はもちろん、チームメイトや監督などに取材をし、重厚な内容になっています。
この取材にあたり、名前だけは知っていたのですが、伝説のアニメ『赤き血のイレブン』を初めて鑑賞しました。
いわゆるスポ根もので、マンガの原作は『巨人の星』『あしたのジョー』の梶原一騎。アニメ放映時には、永井さん宛てにみかん箱一杯のラブレターが届くほどだったとか。
このアニメ、伝説と言われるだけあって、内容がぶっ飛んでいて強烈なのです。
永井さんがモデルとなっている主人公の玉井真吾は、全校生徒の前で校長先生が挨拶しているときに、屋上から颯爽と登場します。
そして校長先生に、「おい、このウェスタンはげ!」と罵声を浴びせるのです。
ウェスタンはげ……。
確かに校長は禿げてはいるのですが、この“ウェスタン”って何なんでしょう。悪口なのかすらも不明です。
「ボールは友だち」、翼くんとは正反対
教室に戻っても、玉井はクラスメイトにケンカをふっかけて、「ボスは俺だ!」と、鼻息荒く乱闘を始めます。
ケンカばかりだなぁ、と思っていると、ようやくサッカー部の監督・松木天平が出てきます。
「サッカーには人生のドラマがある! 俺と一緒に青春の赤い血を燃やし、青春の闘魂を傾け、泥沼のなかでボールを蹴りまくる同志はおらんかー!?」
いきなりの勧誘です。
玉井は、反発心がむくむく芽生えた模様。目をギラギラさせてボールを蹴り込み、校長室の窓を割ります。
ガキ大将気質で一人よがりの主人公が、サッカーに取り組むことで仲間の大切さを学ぶ。このようなストーリー展開が予想される第1回目でした。
かなり面喰らう内容でしたが、エンディングテーマでさらに驚愕することになります。
「たまきしんごは、変なやつ♪
バカか利口かわからない♪」
当時としても、規格外の主人公だったようです。
次回予告では、サッカー部員がパンツ一丁で練習している風景が映し出されていました。
『赤き血のイレブン』、侮れません。
【了】