ゲッツェの起用、狭いエリアの崩しが狙いだったか
選ばれたのはマリオ・ゲッツェだった。2016年6月16日の欧州選手権グループC、2試合目の対ポーランド戦でCFのポジションに入ったのは、マリオ・ゴメスではなかった。15日の会見で、ドイツ代表監督ヨアヒム・レーブは「私にとってゲッツェは批判されるほど悪くはなかった」と述べている。
12日のウクライナ戦で、ゲッツェはワントップで先発し、偽9番として前線を動いた。しかし周囲と効果的なコンビネーションを見せることはできず、ドイツ代表は、なかなか決定機を作り出すことができない。2-0で勝利はしたが、得点はセットプレーとカウンターからのものだった。ポーランド戦に向けてレーブは、より多くのシュートチャンスを作り出すことを課題として挙げていた。
そこでポーランド戦では、ゴメスの先発の可能性もあった。レーブは「ポーランド戦に向けて(ゲッツェとゴメスの)両者とも理想的な候補者だ」と述べている。ゲッツェは狭いスペースでのコンビネーションが可能であり、サイドから攻撃を組み立てるのであれば、ゴメスが強い。レーブはそう考えていた。つまり、攻撃に何か変化を加えるのであれば、センターフォワードタイプのゴメスの可能性もあったのだ。
しかし、フタを開けてみれば、ポーランド戦で先発したのは、初戦と変わらずゲッツェだった。レーブは、ポーランド代表を「カウンターを待ち構えるよく組織されたチーム」と警戒していた。
試合が始まると、ポーランド代表は、ドイツ代表を相手に4-4-2で守備を整えた。4-4のブロックでバイタルエリアを固める。前ではミリクとレバンドフスキが、縦の関係を築きながら、カウンターを仕掛けた。
つまり、ポーランドの4-4の守備ブロックを「狭いスペースでのコンビネーション」で崩すために、ゲッツェが選ばれたのだろう。そしてレーブは左右両SHのドラクスラーとミュラーを、より内側でプレーさせて、中央に人数を掛けようとしたようだ。もちろんワイドに開くこともあったが、両者をゲッツェの近くでプレーさせ、トップ下のエジル、そしてボランチのケディラも攻撃参加させることで、4-4の守備ブロックを崩しにかかろうとする。