リオ五輪への選手派遣が微妙な情勢のロシア
ロシアのスポーツ界が抱えるドーピング問題という爆弾は、今までにロシアで起きたあらゆる問題のそれより大きなものとなった。ロシアの選手たちが今夏のリオ五輪に参加できるかどうかは、誰にもわからない。
8月のリオ五輪が始まる前に、私たちサッカーロシア代表チームは、ユーロ2016フランス大会に向けて準備中である。ロシア代表にとって、ドーピング自体が主な課題ではないが、やはり避けては通れない話題になっている。
ロシア・プレミアリーグ最終戦の2試合前、5月12日に行われた第28節(全16チームの総当り)、ディナモ・モスクワ対ロストフ戦でFIFAが抜き打ちでドーピング検査を行った。アウェイチームの先発11選手が対象となった。
その後、ユーロ2016の準備でスイスで合宿していたロシア代表でも抜き打ちドーピング検査が行われた。だが、ロシア代表のチームドクター、エドワルド・ベズグロフ氏は慌てた様子も無く、落ち着いて以下のようなコメントを残している。
「2016年は、我々のチームの誰もドーピング検査には引っかかっていない。過去3年間で陽性反応が出たのは、3ケース。ただ、どれも、ドーピングを逃れるような調剤をしたり、禁止されているマリファナ、コカイン、利尿剤は、確認されていません」
ロシアで最も人気のあるサッカークラブ、スパルタク・モスクワのチーフドクターのヴァルタペトフ氏も、ロシアのスポーツにおけるドーピング問題にそれほど慌てている様子はない。
「どうして私たちは、メルドニウム(編注:テニス選手のシャラポワが使用したとして問題視された薬物)が昨秋に禁止されるだろうことを知っていたか? 私達がそれだけ賢いから? いや、単に「WADA」のニュースを追っていたからだけだよ」