ハリルの要求。はまらない時間帯で出た課題
キリンカップの決勝でボスニア・ヘルツェゴビナと対戦した日本代表は前半28分に宇佐美貴史のクロスから清武弘嗣が左足で合わせて先制するも、2分後にロングボールを起点としたパワフルな攻撃から同点に追い付かれた。
チャンスとピンチが紙一重で入れ替わるスリリングな試合は後半頭から遠藤航を入れ、中盤の強度を高めた日本代表に流れが傾きかけた。だが、後半21分に再び大きな展開から入ったばかりのステバノビッチに鋭いカットインを仕掛けられ、スルーパスに飛び出した長身FWジュリッチのフィニッシュを止めることができずに逆転ゴールを許すと、小林祐希、金崎夢生、小林悠といった攻撃的な選手の投入も実らず。日本は1-2で敗れた。
本田圭佑、香川真司を欠く状況で積極的にチャレンジしたことで多くの課題が浮き彫りになった。ハリルホジッチ監督は高い位置からプレッシャーをかけ、1タッチ&2タッチで素早くボールを回しながら人も動きながら縦を狙うスタイルを求めた。それがはまっている時間帯はいいが、はまらない時にどうするか、あるいは狙ってもはまらない状況に陥らないためにどうするかというのは明確に出た。
失点シーンを局面だけで振り返れば1点目はセンターバックの吉田麻也と森重真人が相手2トップの圧力を押し返せず、また中盤でメドゥニャニンに簡単にパスを出させてしまった。
2失点目は交代で入ったばかりのステバノビッチにカットインからのスルーパスに持ち込まれ、ゴール右に飛び出したジュリッチに角度の無いところから決められた。直接的にはステバノビッチの対応が甘くなった長友佑都、ジュリッチに付き切れなかった吉田、狭いコースを破られたGKの西川周作に問題はある。
そうした局面の対応やハリルホジッチ監督が強調する“デュエル”(=フランス語で決闘を意味する1対1や球際の強さ)の課題があることも事実だが、失点や大きなピンチを迎えた場面はほぼ例外なく、攻守の切り替わりでチームとしての間延びが生じていたことも確かだ。