序盤は流れるような攻撃。しかし失点…
本田圭佑(ミラン)・香川真司(ドルトムント)の両エース不在の穴をどう埋めるのか。7日のキリンカップ決勝、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦(吹田)に挑んだ日本代表にとっては、これが最重要テーマと言っても過言ではなかった。
その課題をクリアできない限り、9月から始まる2018年ロシアW杯アジア最終予選に不安が残る。選手たちもそのことを自覚していたはずだ。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が送り出した攻撃陣は、1トップ・岡崎慎司(レスター)、2列目は右から浅野拓磨(広島)、清武弘嗣(ハノーファー)、宇佐美貴史(G大阪)、ボランチに長谷部誠(フランクフルト)と柏木陽介(浦和)という予想された顔ぶれ。
酒井高徳(HSV)、長友佑都(インテル)の両サイドバックだけが相手の高さを考えるとやや意外ではあったが、現有戦力ではほぼベストの陣容で戦った。
本田と香川がいない分、代表通算50ゴール目前の岡崎が最前線から攻撃陣を引っ張り、清武が柏木らと連動しながらゲームを作ると見られたが、序盤の日本はシナリオ通りの流れるようなアタックを構築した。
「自分とキヨと貴史の左サイドで起点を作ることを考えて、空いてきたら拓磨を使おうと考えた。ポンポンリズムを作っていくのは個人的にはできた」と柏木が前向きに話したように、前半27分に清武の先制点が生まれるまでは、間違いなく主導権を握っていた。
先制のシーンも、森重の展開に反応した宇佐美が外からのえぐりでDFをかわし、中央に入り込んだ清武が合わせた形。これまで代表での宇佐美は中へ中へと行きすぎて、中央で渋滞を起こす傾向が強かったが、今回は外に1回大きく開いてスペースを空け、距離感を見ながら突破していくというメリハリがついていた。清武の冷静な判断も含め、ここまでは両エース不在を感じさせなかったと言っていいだろう。
ところが、直後にジュリッチ(チェゼーナ)の高さに屈して失点してから急激に日本は失速していく。