理解を示していない広島市
今週末のJ1最終節、現在2位で逆転優勝に向けて臨戦態勢のサンフレッチェ広島だが、ホームタウンの広島市の松井一實市長がサンフレッチェは「2位でいい」と発言したとして物議を醸し、松井市長がすぐに謝罪訂正する事態が起きた。
滑稽な話だが、つい本音が出たのだろう。松井市長はサンフレッチェに優勝されては困るのだ。
広島では、プロ野球の広島カープがかつて本拠地にしていた旧市民球場跡地、広島市街地のど真ん中にサッカースタジアムを建設しようとする動きがある。現ホームのエディオンスタジアム(広島ビッグアーチ)は老朽化が進み、また、ホームゲーム開催時の周辺の渋滞状況の劣悪さなどが以前から問題視されている。サンフレッチェはホームスタジアムの移転が急務であり、そのための広島市民の理解も徐々に進みつつある。
一方、広島市は旧市民球場跡地の利用案について、今年3月時点の見解として「緑地公園化」「文化施設建設」「サッカースタジアム建設」の3案に絞って検討を進めてきた。だが、広島のスタジアム問題に詳しい関係者によれば「サッカースタジアム建設案は“一応検討している”という案に過ぎない」という。
「広島市はサッカースタジアムの建設に未だに理解を示していません。代案に『緑地公園化』などという案を提示するのは、財政状況が逼迫しているためにお金をかけたくないという理由が一つ。
ですが、今やスタジアムを街中に建てれば市街地の活性化に繋がるはずで、そういう新たな街づくりに対する積極的な発想が行政には乏しい。旧態依然としたお役所の発想が根強く残っているのは非常に感じます」