香川がベンチスタートとなった理由
ペップの背中が遠のいた。
2016年5月21日のDFBポカール決勝で、ボルシア・ドルトムントはバイエルン・ミュンヘンに屈する。延長戦も含めた120分間を0-0で終えて、PK戦に持ち込んだが、黄金色の杯に触れることはできなかった。
今季最後の大一番で監督トーマス・トゥヘルは、対バイエルンに特化した戦術を敷く。ベンダー、ソクラティス、フンメルスの3バックにシュメルツァーとピシュチェクの左右ウイングバック、2ボランチにバイグルとカストロ、ロイスとミキタリヤンの両サイドハーフ、そしてワントップにオーバメヤンを配置する。つまり、3月5日のホームにバイエルンを迎えたブンデスリーガ第25節で採った5-4-1である。
香川真司はベンチスタートとなったが、主に「戦術的な理由」でそうなったことは想像に難くない。第25節にベンチ外となった時と同じだ。守備に比重を置いてカウンターを狙うために、中盤を簡略化する。
創造性やアイデアではなく、フィジカルと切り替えを重視して、トゥヘルはカストロを先発に選んだのだろう。また20日の前日会見で、トゥヘルは香川について「金曜(20日)の夜から練習に復帰する」と語ったが、コンディション面で出遅れたところもあったのかもしれない。