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欧州5大リーグで成功するために必要なこと~イタリア・セリエA編~

『現地記者が分析する欧州リーグにおける日本人選手の適応条件』
今では多くの日本人選手が海を渡り、海外リーグへ挑戦するようになった。日本とは違う環境で成功するためには一体どんなことが必要なのだろうか? 欧州各国に滞在する現地記者が、欧州リーグで活躍するための適応条件を探った。今回はイタリア・セリエA編をお届けする。

text by 神尾光臣 photo by Kazuhito Yamada

イタリア・セリエA

過去所属選手:三浦知良【1994-95/ジェノア】、中田英寿【1998-2000/ペルージャ、00-01/ローマ、01-04/パルマ、04/ボローニャ、04-06/フィオレンティーナ】、名波浩【1999-2000/ヴェネツィア】、中村俊輔【02-05/レッジーナ】、柳沢敦【03-04/サンプドリア、04-06/メッシーナ】、小笠原満男【06-07/メッシーナ(鹿島アントラーズからの期限付き)】、大黒将志【06-08/トリノ】

現在所属選手:森本貴幸【06-11/カターニャ、11-12/ノバーラ、12-現在/カターニャ】、長友佑都【10-11/チェゼーナ(FC東京からの期限付き)、11-現在/インテル】

リーグ名:セリエA(イタリア)
労働条件:特になし
外国人枠:EU外国人については総量規制あり。年間2人までの新規獲得が認められているが、その場合所属のEU外選手を海外に放出しなければならない。
言葉:イタリア語を覚えることがベスト、いやマスト。ただアルゼンチン人などが多いチームではスペイン語の方が都合がいい場合も。
人種差別:有色人種に対し無知からくる偏見は存在するが、人種差別というほど強くはない。ただ極右系のサポーターは、差別的なブーイングを起こすことがある。

ファミリーのつながりを重んじる国民性


持ち前の明るいキャラクターで、インテルというビッグクラブに溶け込んだ長友佑都【写真:山田一仁】

 とにかく精神的な壁を作らず、輪に入ること。ファミリーのつながりを重んじる国民性は、スポーツチームの団結にもそういったものを要求する。イタリア語は意思疎通ももちろんのこと、自分を近い存在だと認識してもらうためのツールとして、やはり学習した方がいい。

 現在の長友や森本、また中田は別として、かつてイタリアに所属していた日本人は、その点で周囲と距離を作っていた。あるクラブで日本人とチームメートだったイタリア人選手は「いつも彼は口を開かず静かだったが、そのために何を考えているのか、今ひとつ分からなかった。ロッカールームのテンションに溶け込めず、その気すらないんじゃないかと思った」と振り返っている。

 通訳を置くのも「あいつばかり特別扱いしやがって」とみなされる場合があるので、あまりいいことではないらしい(某日本人選手のマネージャー談)。それとクラブによって異なるが、基本的にチーム内での規律は厳しい。「平気で遅刻しても終了時間はきっちり守る」というお国柄とは裏腹に、多くのチームは時間厳守だ。

 プレイ面での適応については、各チームともに戦術が千差万別で、ポジションごとの要求も細かいので、一般的にどうこうとは言いづらい部分がある。一概にフィジカルコンタクトが激しい傾向にあるのは事実だが、技術のある選手は重宝される。ただし戦術志向はどこも強く、選手のキャラクターが合わなかった場合は出場機会を失う恐れがあるので、チームの選択には慎重を要する。

【了】

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