「飛び級」でリオ五輪も狙う左利きセンターバック
聞きなれない言葉を口にしながら、U‐23日本代表を率いる手倉森誠監督がニヤリと笑った。ガーナ代表との国際親善試合へ向けた短期キャンプが佐賀県内でスタートした、5月9日の練習終了後のひとコマだ。
「オーバーエイジだけでなく“アンダーエイジ”もいる。上は3人までしか呼べないけど、下はなんぼでも呼べる。それくらいの選手が育っている」
果たして、誰が招集されるのか。サッカーファンの注目を集めているオーバーエイジに関する質問に対して、その対義語となる“アンダーエイジ”を自らもちだしたわけだ。
今夏のリオデジャネイロ五輪の出場資格は、1993年1月1日以降に生まれた選手となる。大会開催時で23歳以下であり、ゆえにオーバーエイジは24歳以上の選手となる。
一方で指揮官の造語でもある“アンダーエイジ”とは、要は次回大会となる2020年の東京五輪への出場資格をもつ、1997年1月1日以降に生まれた選手たちをさしている。
もちろん、現時点で19歳以下の選手でもリオデジャネイロ五輪の舞台に立てる。いわゆる「飛び級」での代表入りへ並々ならぬ意欲を見せている選手の一人が、柏レイソルのDF中山雄太だ。
「東京五輪はもちろん意識していますけど、その前にリオもあるので、まずはそこへ向けて。欲張っているようですけど、それくらいの勢いをもってプレーしていきたい」
1997年2月16日生まれの中山は、開幕直前に19歳になったばかり。柏レイソルU‐18から昇格した昨シーズンはリーグ戦1試合の出場に終わったが、今シーズンはすでに7試合でピッチに立っている。
もっとも、開幕からわずか3試合を終えた段階で電撃辞任した、ミルトン・メンデス前監督のもとではすべてベンチ外。中山にとってターニングポイントとなったのは、下平隆宏新監督の就任となる。
ナビスコカップ2戦に先発フル出場して及第点をもらうと、4月2日のサガン鳥栖とのファーストステージ第5節で先発フル出場。ひとつ年上で、同じくユース出身の中谷進之介とセンターバックを組んだ。
前身の日立製作所時代からプレーし、キャプテンも務めた下平氏は2004シーズン限りで現役を引退。スカウトなどを務めた後の2009年にU‐18のコーチ、翌年からは監督を5年間にわたって務めた。
中谷と中山を含めた、アカデミー出身の若手選手のほぼ全員を下平氏は指導してきた。監督就任後は先発メンバーの平均年齢が23歳を下回り、アカデミー出身選手が8人を数えた試合もある。