ファインセーブでチームを救ったGK児玉剛【写真:Getty Images】
J2リーグ第12節が7日に全国各地で開催され、愛媛FCはセレッソ大阪をホームに迎えて対戦。柿谷曜一朗や杉本健勇など、多彩な攻撃陣を揃える強敵相手に0-0の引き分けに終わった。
強風の影響で中止となったツエーゲン金沢戦(18日に延期)や、地震により延期となったロアッソ熊本戦など、様々な要因が重なり試合数が他のクラブよりも少ないという理由があるものの、これで暫定首位(試合数に変動があるため)の町田ゼルビアに並ぶ「未だ1敗」のチームとなっている。(3勝6分1敗)
ここまでの対戦相手を見てみると、昨季J1リーグにいた清水エスパルス、松本山雅を相手に0-0の無失点と、強力な攻撃陣を揃える相手にも得点を許していない。その重要なポイントとなるキーワードが、C大阪戦で見えていた。
愛媛は今節も3-4-3の布陣を採用し、1トップには新加入の阪野豊史、2シャドーに河原和寿、瀬沼優司となっている。愛媛は11分に左サイドからのフリーキックを内田健太が蹴り、中央で競り勝った瀬沼がヘディングシュートを放つ。ゴール左に外れたが、最初のチャンスとなった。そして、28分には玉林睦実が遠目から強烈なシュートを放っている。
前半は愛媛のペースで進み、C大阪がようやく初シュートを放ったのは36分だった。連戦の影響からか、C大阪は立ち上がりからスローペースで進む。しかし、44分に柿谷が決定的なシュートを放ったあたりから状況が一変する。
後半開始直後の47分、C大阪はコーナーキックから愛媛に跳ね返されたボールを再びつなぎ、右サイドからクロスボールを入れた。ソウザのもとにボールがこぼれ、相手選手をかわしてからシュートを放つ。ゴール枠内を捉えたが、玉林が必死のディフェンスで跳ね返した。
50分には、柿谷が左サイドからクロスを入れ、ヘディングでつないだボールを田中裕介がダイレクトで合わせる。決定的なシュートとなったが、今度はGK児玉がファインセーブで失点を防いだ。その後も息を吹き返したようにC大阪の猛攻が続いた。
しかし、GK児玉を筆頭に愛媛は”粘り強い守備”で攻撃を防ぎ、ゴールを許さない。後半終盤には反対に愛媛のペースとなり、87分には近藤貴司が惜しいシュートを放っている。白熱した試合は結局0-0の引き分けに終わった。
再三のピンチを防いだGK児玉は試合後に「昨シーズンから引き続き、簡単に失点しなくなった。シュートに対して体を張ってくれるし、シュートブロックにいくのが難しい距離にあるときでも、練習からコミュニケーションをしっかりとって、”こっちに打たしたら大丈夫やで”と言っている。
ディフェンスラインの選手とは特にコミュニケーションが取れているため、失点数が減ってきているし、粘り強くなったなと思う。玉林選手には本当に感謝している。完全に僕がやられちゃったので。玉さんだけじゃなくて、全員に感謝している」と語り、チーム全員の守備意識の高さが失点数の減少につながっていることを明かした。
また、愛媛を率いる木山隆之監督は「選手は良く頑張ったと思う。しっかり力を出せていましたし。ゲーム全体を通して言うと、ピンチもありました。やっぱりセレッソの選手の能力のところでシュートまで持って行かれることもありましたし。
ゲームの進め方としては、自分たちの良さを出しながら、よく選手たちはやってくれた。今自分たちができるベストは出せたと思う。あと、良い雰囲気を作ってくれたファンの人たちに感謝したいですし、また皆さんの力を借りて頑張りたい」とコメントし、死力を尽くした選手たちを称賛している。
(取材・文:宇和川勝也)
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