磐田はミラーゲームを仕掛けたのか?
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現浦和レッズ)が作り出し、森保一監督が完成させた広島の【3-4-2-1】。堅守と破壊力を両立させたこの布陣は、オートマチックでありながら柔軟性も備えている。
そんなチームを相手に磐田も全く同じシステムで臨んだ。人の配置が広島と合致するため、対峙するマークがわかりやすく、局面の攻防もより明確になる。対広島向けに同じシステムで戦うチームは決して珍しくはない。
いわゆる『ミラーゲーム』と呼ばれる戦い方だが、広島は選手一人ひとりのクオリティが高い。単純な1対1に持ち込んだとして、磐田が相手を上回れるかといえばそれは決して簡単なことではない。
昨シーズンのJ1王者に勝つために、磐田は何をしたのか。名波監督は「浦和戦と同じ15分分割を6セットというイメージ。(60分くらいまでは無失点でいきたい?)無失点じゃなくても別にいい。0-1でもいいし、1-0ならもちろん御の字だし。とにかく競った状態でいることが大事」と展望を語った。
そして、この広島戦は磐田が『ミラーゲーム』を制したと思われがちだが、そうではない。試合に向けた紅白戦で3バックを試した際、名波浩監督も「ミラーではない」としている。
その時に話していたのは「後ろに余らず、ボールから一番遠い相手選手は余らせていい」ということだった。これまでの【4-2-3-1】ではなく、最終ラインを3枚にすることで広島の1トップ2シャドーにぶつけるという選択だ。この部分は“ミラーゲーム的”ではあるが、あくまでも後ろに余らないようにするための策だといえる。