本田、「非常に良かった」が交代に
「悪かったから彼を変えた、というわけではない。むしろ非常に良いプレーをしていた」
ミランvsフロジノーネ戦後の記者会見で、ミランのクリスティアン・ブロッキ監督は本田圭佑を真っ先に下げたことについてそのように語っていた。普通自らが交代させた選手について、実際には出来が悪かったところを擁護したい場合は「ベーネ(良い)」というのがせいぜいで、「ベニッシモ(非常に良い)」とまで評価することはない。
しかもブロッキ監督は理由もつけていた。「1点目のカルロス・バッカのゴールにつながった、イニャツィオ・アバーテへのパスは素晴らしいものだった」。GKの好セーブの前に弾かれたミドルシュートでも、オフサイドとなったゴールでもなければ、結果しか見ないイタリアの地元メディアが確実に無視しそうなプレーを挙げた。
だがその指揮官が後半19分に本田を下げた。そしてその後に1-3とリードされていたチームは2点追いついたという事実は動かない。ブロッキ自身も会見で「この決断に関しては、私は正しかったと思っている」と断言している。「非常に良かった」のなら、なぜ下げたのか。この一瞬矛盾した発言と采配の中に、トップ下としての本田のプレーの意味と、今のミランの4-3-1-2の実態が表現されている。
まず64分間のプレーの中で、本田はトップ下としてチャンスをそれなりに作っていたのは事実だった。フロジノーネのロベルト・ステッローネ監督が4-3-1-2の戦術を読みきり、前線の3人を囲むように強固なゾーンディフェンスを敷く。こうしてスペースがない中、本田はプレーを理詰めで工夫していた。本人から直接打開はできなくても、中継点となってボールを動かした。