興味深い川崎の得点傾向
0-0のまま迎えた後半ロスタイム5分、レナトからエリア内の左でパスを受けた大久保嘉人が、鋭い切り返しから冷静にフィニッシュ。川崎フロンターレは5位に浮上し、横浜F・マリノスとの最終節に勝利すれば来季ACLの権利を獲得する希望も出てきた。
3試合連続となるゴールで得点王に大きく近づいた大久保に関して注目したのが、時間帯別の得点だ。筆者の新刊『サッカーの見方が180度変わるデータ進化論』(ソルメディア)はデータを活用しながら実際の試合を観ることにより“印象論”で語られがちな傾向を打破することを目的としている。
「時間帯別の得点率」は構成上の理由から入れられなかったデータの1つだが、大久保の得点を前半と後半に分けて集計すると、非常に面白い結果が導かれた。
今季において川崎がチームであげた64得点の内、39得点は後半に記録したもの。「後半の得点率」は60.9%と全体的にも高い数字だが、大久保に絞ると26得点の内、実に17得点が後半に生まれており「後半の得点率」は65.4%となった。
ほぼ3分の2は後半に記録されたことになる。縦のホットラインを形成する中村憲剛が「今まさにストライカーとして研ぎ澄まされている」と評価する大久保はなぜ後半にこれだけのゴールをあげることができたのだろうか?