ミラン、今季リーグ最多となるボール保持率82%も…
ミランvsカルピの試合終了後、猛烈なブーイングがサン・シーロにこだました。クリスティアン・ブロッキ新監督が指導者として初めてホームを闘った一戦だったが、選手の年俸総額がミランの約17%ほどの相手にスコアレスドローを喫した。
ただこの試合、実はミランは一つの記録を作っていた。セリエAの公式データによれば、ボールポゼッション率は82%。データ集計カンパニーのOPTA社では76.2%だったそうだが、いずれにせよリーグで今季一番の記録だったという。
試合後に記者会見でブロッキ監督は「前線での強引さがなかった」と反省点を上げながらも、「こういう試合ではボールを支配して攻撃をし続けることが大事。後方から蹴り出さずにボールを中盤で繋げられたし、いいプレーが見られた」と笑みを浮かべていた。相手を支配する攻撃サッカーがお望みだったシルビオ・ベルルスコーニ会長も、さぞお喜びのことだろう。
しかしこの試合においては、そんな数字は何の意味も持っていなかった。圧倒的な支配率の割にはシュート数は9-4と、ポゼッション率ほどの差はない。逆にカルピにはルーズボールを拾われてからの逆襲を15度くらい、そのうち3度はゴール前への危険なカウンターへと繋がっている。試合終了間際に17歳GKのジャンルイジ・ドンナルンマがミラクルセーブを見せていなければ、負けていた可能性もあった。
カルピ陣営は、ミランにボールを持たせて守備を固めるプランを取ったのだ。「我われはミランからうまくゴールを隠すことに成功した」とカルピのファブリツィオ・カストーリ監督は語っていた。ミランは傍目に主導権を取っているように見えて、実は相手のペースで試合を運ばれたのだ。前節のサンプドリアに続き内容に見るところはなく、むしろ悪化してさえいた。