公認代理人制度から仲介人制度への変化
FIFAが公認代理人制度を廃止したことで、2015年4月から新たに仲介人制度がスタートした。それまで「サッカー代理人」はFIFAの試験に合格する必要があったが、仲介人制度においては試験や資格の必要性はなく登録すれば基本的には誰でも仲介人になることができる。
ある意味で混沌とした世界への扉を開いたとも言える代理人制度の廃止だが、仲介人制度から1年が経過しても実際に起こった変化やエージェント業界の現状はなかなか伝わってこない。そこで今回から「職業サッカー代理人」というタイトルの下、選手エージェントを務める方々を取り上げ、エージェントという職業やその重要性を再考していく。
最初に話を伺ったのは株式会社スポーツ・ソリューション代表取締役の稲川朝弘氏。2015 JリーグMVPを受賞したMF青山敏弘(サンフレッチェ広島)やFW杉本健勇(セレッソ大阪)ら多数の日本人選手をクライアントに抱える一方で、レアンドロ・ドミンゲス、レナト、ドウグラスら近年のJリーグで第一線級の活躍をしたブラジル人選手も数多く抱える人物だ。
今回は、昨年度のシーズン真っ只中(7月)に川崎フロンターレから中国の広州富力へと移籍したFWレナトのケースを取り上げながら、なぜ稲川氏がこれほどまでにブラジル人選手を「当てる」ことができるのか、それから「爆買い」が目立つ中国リーグに打つべきJクラブの対策についても考えていきたい。