ジュビロ磐田の小林祐希【写真:Getty Images】
ジュビロ磐田の小林祐希は2日、明治安田生命J1リーグ1stステージ第5節大宮アルディージャ戦にフル出場し、日本代表へのアピールを込めた先制ゴールを奪った。
試合前日、磐田市内での練習が終わって引き揚げてきた小林は「明日決めたら『代表へ』って書いてくださいね」と、報道陣へ話していた。そして、この日の大宮戦の44分、アダイウトンのパスを受けた背番号4は、相手のマークを剥がし、利き足とは逆の右足で強烈なシュートを放ち、ネットを揺らした。
自身J1初ゴールを「純粋に嬉しい」と振り返る。普段から練習後には居残りでシュートを打ち込んでおり、この日のゴールはまさに「練習でやっている形」。だからこそ「いつも通りのリラックスした状態でシュートまでいけた」と日々の鍛錬による得点だったことを強調した。
名波浩監督からは攻撃における自由を与えられ、試合中は広範囲に動きながらボールのあるところへ顔を出していく。1トップ下ということもあり、ゴールを決める仕事も求められる。だが、小林はそのことを十分に理解した上で、組み立てへの意識を強く持ってプレーしている。
「あのポジションにいる以上、点は取らないといけないが、ゴールまでの道を作るというか、フィニッシュまでの形をもっと大事にしたい。その回数を多くすれば必然的にゴールは増えるから」
そして「自分でゴールを決めたり、アシストすることよりも、まずチームが勝つことを先に考えたい」と話すなど、ピッチ上で11人がイメージを共有しながらの得点、勝利を目指している。
東京ヴェルディユース時代から将来を嘱望されたプラチナ世代。同クラブのトップチームに昇格し、2012年には19歳でキャプテンを任され10番も背負った。その年、磐田に新天地を求め、少しずつ自身のキャリアを築いていった。そして今季、チームの中心として磐田の攻撃をけん引し、今節の大宮戦で待望の初ゴールを記録した。
彼の能力を考えれば、現状に満足してはいけないし、本人もさらに上のステージを目指している。今回の得点で代表入りの道が開けたと断言することはできない。それでも、この日のように攻撃の中心として周囲を操りながら、ゴールに関わる仕事ができれば、『小林祐希』の価値はさらに上がっていき、その先にある日本代表のユニフォームも近づくだろう。
(取材・文:青木務)
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