高さばかりがもてはやされるが実は器用
ハーフナー・マイクが岡崎慎司に代わり投入されたのは後半28分。すでに3-0と試合の大勢が見えた状況だったが、直後のCKで相手マークの混乱を誘い、吉田麻也のゴールを呼び込むと、後半33分には清武弘嗣が上げたボールをエリア内で落とし、金崎夢生のゴールをアシストした。
「前で体を張って、どんどんシンプルにボールを落としてゴール前へ顔を出すという。普通の指示です」
交代前にハリルホジッチ監督から出た指示をハーフナー本人はこう説明するが、このシンプルさこそ、現体制で初出場となった長身FWの特徴を発揮させるための明確なメッセージになったのではないか。そこには周りの選手たちの共通理解が伴っていたからだ。
「マイクを使うときは 空中戦と頭で折り返すという、彼の長所を活かすことを考えた。日本代表はここ数年、このようなプレーを習慣化していなかった。彼に向けてのセンタリングを多くしたが、これはオプションだった」
ハリルホジッチ監督は起用の意図をこう説明する。2トップのままハーフナーを投入するという選択も、このメッセージを選手たちが実行する意味では適していたと言える。指揮官が「2トップを使うときは、1人がパス、1人が点を取るという補完関係も必要」と表現する形を常に中央で作ることができるためだ。
横浜F・マリノスのユース時代から各年代の代表にたびたび選出され、ザッケローニ監督が率いていた2011年9月の北朝鮮戦でA代表デビューを飾ったハーフナー。その時も194cmという“高さ”が注目され、ブラジルW杯2次予選のタジキスタン戦ではその特徴を活かす形で2得点を記録した。
ただ、一方でハーフナーは“高さ”に特化したタイプではなく、足下でボールをさばくこともできれば、ワイドに流れて組み立てに絡むこともできる。サイズがある分、ミスした時に目立つためにJリーグ時代から“ヘタウマな選手”というイメージも持たれがちだったが、それもさまざまなプレーに絡む中で発生していたものだ。