「クリーンなだけでは怖さが出ない」
「正直、ファウルが必要な場面もある。あとは相手とのメンタル的な駆け引きで開始10分の間にわざと“オレがいるんだぞ”というところを、削るまではいかないんですけど、そういう駆け引きというのはセリエAでもやっている」
公式練習の後、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が選手に繰り返し要求している“デュエル”で強さを発揮しながら、ファウルをせずに攻撃を止める、ボールを奪い切る守備について質問すると、サイドバック(SB)の長友佑都は「それがメチャメチャ難しくて」と苦笑しながら答えた。
「悪い位置でのファウルや(相手の)FKというのは必要ないですけど、ぜんぜん危険ではないところでのファウル、あるいは精神的な駆け引きというのは大事になるんじゃないかなと思っていて。すべてがクリーンなプレーだけでは怖さも出ないし、球際の激しさも出ない」
その話を聞いて鮮明に浮かんだのが昨年9月8日に中立地であるイラン・テヘランで行われたアフガニスタン戦だった。結果的に6-0の大勝を飾った試合だが、1つのプレーがその後の布石となった。前半3分に相手CBのロングボールを右ウィングのズバイル・アミリが頭で裏に落とし、FWのファイサル・シャイエステーが走り込んだ。
その場面は森重真人がいち早くカバーして事なきを得たが、その場でジャンプした長友はズバイル・アミリに完全に競り負けていた。その1分後、日本のサイドチェンジがオーバーして左のタッチラインを割ると、アフガニスタンの右SBムスタファ・ハディドが自陣から前方にロングスローを投げ込んできた。