アニメとアトムがつないだ日本との縁
――ギー選手はフランスでプロデビューしたあと、イングランドへ渡りました。現在はフリーとのことですが、日本との接点はどこで?
「とてもシンプルだ。昨年1年間HJKヘルシンキでプレーし、アトム(田中亜土夢)と出会ったからさ。それまでJリーグのことはあまり知らなかったんだけど、アトムや(ハーフナー・)マイクは遠征などでホテルにいるとき、いつもiPadでJリーグを見ているんだよ。それを見せてもらったとき、スタジアムが満員で素晴らしい雰囲気だし、たくさんの人が試合を楽しんでいた。
日本人選手のレベルも高かった。僕はプロになる前、アトムたちと出会う前にもル・マンにいた松井大輔がトリッキーで好きだった。それに名前は忘れてしまったけど、2008年に日本人がアンジェに1週間ほどトライアル(編注:1年半後にアンジェと契約した鈴木規郎のことと思われる。現在はフィリピンでプレー)を受けにきたこともある。その彼は契約に至らなかったんだけど、すごくうまかった。
イングランドでもレスター時代のアベ(阿部勇樹)と対戦したことを覚えている。そうやって何人かの日本人選手と接することで日本の文化も好きになって、言葉を勉強してみたいと思うようになった」
――ヨーロッパにいながら日本語の勉強をするのは難しいのでは?
「そうでもない。勉強を始めたら日本人の友達を作るんだ。すると彼らは僕に『Jリーグでプレーすべき』と言ってくれるんだよ」
――その友人が田中選手だったということですね。
「親友でもあるアトムは何とか日本の言葉を教えようとしてくれた。僕が『NARUTO』や『BLEACH』、『ワンパンマン』のアニメを見ていたからね。すでにちょっとした単語は知っていたんだけど、より多くのことを学んだ。アニメをきっかけに日本の文化を好きになったし、リスペクトするようになったしね。
それに実はコンディションの維持に努めながら昨年の12月にパリで日本語を習っていたんだ。週3回のペースで通っていた。レッスンが終わったあとすぐに習った言葉を使ってアトムにメッセージを送りまくっていたよ(笑)」