反撃する気配を見せないトッテナム
ホワイト・ハート・レーンは、プレミアの熱気からは程遠かった。2016年3月17日、ボルシア・ドルトムントはアウェイでトッテナム・ホットスパーと戦う。ヨーロッパリーグのラウンド16、2ndレグである。既に1stレグで、ドルトムントはホームでトッテナムを3-0で下していた。トッテナムが逆転でベスト8に進出するには、4点が必要な状況である。
つまり、開始直後からトッテナムが猛攻を仕掛けてくる可能性はあった。この試合でベンチスタートとなった香川真司は「守備をしっかりして、その中でカウンターを何本か決めればいいなって思っていました」と言う。しかし実際にBVBが、トッテナムの鬼気迫る攻撃を真正面から受けて立ち、カウンターに出る、といった場面は見受けられなかった。
トッテナムは、1点ずつ返していこうと粘る訳でもない。4点が必要という状況で、最初から諦めているかのようだった。例えば、16日にミュンヘンで行われた欧州チャンピオンズリーグで、バイエルンがユベントスに2点を先行されながら4点を奪い返したような神がかり的な反撃を試みる様子もない。
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