【前編はこちらから】 | 【サッカー批評issue56】掲載
バルセロナは日本の手本である?
11年アジアカップで優勝した日本代表は、カタールのブルーノ・メツ監督から「アジアのバルセロナ」と称賛された。W杯で優勝した女子も「まるでバルセロナ」とパスワークを評価された。
日本選手の資質からいって、バルセロナ型のサッカーが合っているとは言えると思う。
バルサ化は1つの流行になっていて、スペインではアスレティック・ビルバオがビエルサ監督の指導の下にバルサ化が進められているし、イタリアのASローマはバルサBの監督だったルイス・エンリケを引き抜いてバルサ化を始めた。イングランドでも、すでにバルサと共通点の多いプレーをしていたアーセナルのほかに、スウォンジーのような中規模クラブもバルサ型のプレーを指向している。
日本代表やJリーグのクラブなども、そうした世界的な流行に乗ったものだ。ただ、すでにバルサ化の競争が起こっているとすると、日本選手は資質的に有利だろう。
バルサの最大の特徴はパスワークであり、パスワークのためのテクニックだ。体格やパワーはさほど重要な要素ではなく、まず技術と戦術であり、フィジカル面では俊敏性やスタミナが要求されるが、その分野で日本選手は不利ではない。このまま世界のサッカーがバルサ化の競争に突き進んでくれれば、日本サッカーにとっては都合がいいはずだ。
しかし、資質的に向いているからといって、バルサのサッカーができるとはかぎらない。
日本の長所であるパスワークが最大限に発揮されて、バルサと同じようにボールを支配できるとしても、まだ越えなければならないハードルがいくつかあるからだ。