ブリスベンに多くの日本人観客が
前回は、サッカー選手としての夢を追い豪州2部リーグで活躍する2人の選手を取り上げた。彼らのように、豪州でサッカーのキャリアを積みたいという選手が、カテゴリーを問わず年々増加してきていることを触れた。
昨年の来豪以来、そんな選手達の憧憬を一身に集め、彼らの良き目標となっているのは、言うまでもなく、小野伸二その人である。Aリーグでは、パース・グローリーの永井龍(セレッソ大阪より期限付き移籍中)も活躍しているが、小野が、実績、存在感共に、豪州日本人サッカー選手の頂点に立つ存在であることに異論を挟む者はいまい。
「小野伸二」というレジェンドが豪州でプレーしている事実をして、「日本サッカー」のプレゼンスが、豪州国内の至るところで、様々な形で高まっている。
11月22日金曜日、その小野所属のウエスタン・シドニー・ワンダラーズ(以下WSW)が、Aリーグ屈指の強豪ブリスベン・ロア(以下ロア)と首位攻防戦(というには少々気が早い気もするが)を戦った。
試合会場、ロアの本拠地サンコープ・スタジアムには、日本代表や浦和レッズのユニフォームを身にまとった日本人と思しき観客が多く見られた。実はこの試合、ブリスベンと近郊のゴールドコーストに暮らす多くの日本人にとって、今季、小野のプレーを見られる唯一の機会(筆者注:各クラブが3回戦を行い、ホーム2試合、アウェー1試合を1年おきに交互させる変則日程)で、それもあって多くの日本人がスタジアムに足を運んだのだ。
ここまで6試合消化して無敗のWSWと、それを勝ち点2差で追うロアの直接対決は、昨季WSWに4試合(ファイナル・シリーズも含む)勝てなかったロアが、何とか勝ちたいという気持ちで上回ったのか、前半を通して動きが良く、2-1とリードして折り返す。
注目の小野伸二は、前半41分で、まさかの途中交代。予期せぬ出来事に、小野目当てでスタジアムに駆け付けた日本人ファンの嘆息が聞こえてくるようだったが、その予想外の交代には訳があった。