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浦和戦決勝ゴールの磐田FWジェイ。名波監督が語る一流の凄味「槙野はジェイにくっつかれちゃってる」

text by 青木務 photo by Getty Images

磐田のジェイ(右)と浦和の槙野智章(左)
磐田のジェイ(右)と浦和の槙野智章(左)【写真:Getty Images】

 ジュビロ磐田の名波浩監督は11日、前節の浦和戦で生まれたジェイのゴールを称賛している。

 今季初勝利の余韻が残る8日の練習後、「ボックスの中でジェイが何をやっているか。なぜ槙野(智章)がホールディングするような状況になったか。なぜジェイを離して前に行かないのか、行けなかったのか。ゴールシーンを見直して欲しい」と報道陣に“宿題”を出した指揮官。そして11日、その“答え”を明かした。

 左サイドのスペースで松浦拓弥がボールを受けた時に、まずジェイが動き出す。それはFWとしては当然の行動。一流と二流を分けるポイントはこの後だ、と名波監督は言う。

「二流のストライカーはそこで止まってしまう。そしてニアに行こうとするけど、最初に止まっているからディフェンダーに前に入られてしまう。でもジェイは、ゆっくりだけど、そこからもう一度動き直している」

 槙野に密着されながらも、磐田の背番号8は少しずつ、だが確実にファーサイドに流れていく。一見すると槙野がジェイをがっちり抑えて動かしているようにも映るが、名波監督の見解はこうだ。

「(槙野はジェイに)くっつきたくないけど、くっつかれちゃってる。小林(祐希)のキックフェイントの時にジェイから離れられなかったらもうあのまま対応するしかない。だからズルズルとファーに行っちゃって、最後は浴びせ倒すしかなかった」

「『なんでジェイを離して前に出ないんだよ!』という人もいるだろうけど、あの凄さはなかなかわからないと思う。ボックス内のたかだか4~5m。あの距離でドラマを生み出せるストライカーが日本にも出てこないと」

 槙野はヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表にも名を連ねており、DFとしてのレベルは決して低くないだろう。そんな選手がほとんどなす術なくゴールを奪われた。だがそこには、ボールが来るポイントを最初に見つけ、そのために動き直したジェイの点取り屋としての嗅覚があった。

 足の痛みで始動から出遅れ、ほとんど実戦をこなせていなかったが、元イングランド代表FWはその能力の一端をJ1の舞台で見せつけたのだった。

【了】

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