ハリルは何を選手に意識づけさせたいのか?
Jリーグのクラブに所属する国内組を集めて行われたトレーニングキャンプは3日間の全日程を終えた。その締めくくりとなる紅白戦は両側のペナルティラインにゴールを設置し、縦幅を狭くしたピッチで11対11。ここまで指導された共通認識をハリルホジッチ監督の要求する速いテンポで行うことに主眼が置かれていた。
基本的に2日目の戦術練習で組んでいたメンバー構成で、主に4-2-3-1と4-3-3の組み合わせで行われてきたが、今回のゲームは赤組(ビブスの色はピンク)も白組もともに4-2-3-1の布陣。1本目は10分、2本目は8分ほどの短い時間ではあったが、気温が冷え込む中で選手たちは熱のこもったプレーを見せた。
赤組:東口、塩谷、昌子、槙野、藤春、柴崎、永木、齋藤、遠藤康、永井、興梠
白組:西川(林)、米倉、植田、丸山、車屋、遠藤航、柏木、小林、武藤、宇佐美、浅野
ここまで意識付けされたのは守備におけるゾーンプレスと攻撃における1タッチ&2タッチをベースとした縦方向の意識だ。ただ闇雲にプレーが速ければいいわけではない。攻撃側は正確なパスと動き出しを意識し、例えば一度ボールをリターンしたら反転して前に走り出すなど、ボールも人も速く動きながら縦に向かう。
守る側は高い位置からボールを奪いに行こうとするが、ゾーンのバランスは崩さずに取りに行くべきとき、ブロックを立て直すときを判断して、相手に隙を与えないようにしていかなければならない。
「A代表に入りたいのであれば、ディフェンスのこういった要求、攻撃のこういった要求をクリアしてもらわなければ困る」
そう語るハリルホジッチ監督の意識付けが国内組の選手たちに現時点でどこまで浸透しているのか。「彼らは1タッチ、2タッチでああいうプレーができるわけですね。前へのスプリントもできるわけです」と振り返るゲームの中で見えた攻守のエッセンスを象徴的なシーンから解説してみたい。