監督はなぜ香川をベンチ外としたのか?
2016年3月5日のブンデスリーガ第25節、ボルシア・ドルトムントがバイエルン・ミュンヘンをホームに迎えた試合で、香川真司はベンチ外となった。
しかしこの措置を、監督トーマス・トゥヘルから香川に対する戦力外通告と捉えるのは、時期早尚である。試合後の会見で、トゥヘルは香川をメンバー外としたことについて、次のように言及した。
「戦術上の理由からだ。今日はDFラインに5枚並べる戦術だったからだ。非常に心が痛んだが、10番タイプの選手を外すしかなかった。シンジは健康で、病気でも怪我でもない」
まずはバイエルン戦を、5ポイントという勝ち点差や1位と2位の直接対決といったピッチ外のシチュエーションを取り除いて、純粋にピッチ上のゲームとして注視する。大一番とは言え、ブンデスリーガの1試合であることに変わりはない。
そうしてバイエルンを研究した末に、トゥヘルは「DFラインに5枚並べる戦術」=【5-4-1】を選択した。先発メンバーは以下のとおり。
【GK】ビュルキ
【DF】ドゥルム、ピシュチェク、ベンダー、フンメルス、シュメルツァー
【MF】ムヒタリヤン、バイグル、ギュンドアン、ロイス
【FW】オーバメヤン
中盤には、バイグルとギュンドアンという、タイプ的には6番と8番が並んだ。DFラインの中央も含めて対人に強い選手を並べながら、ドゥルム、シュメルツァーのSB、そしてムヒタリヤン、ロイス、オーバメヤンと、攻守の切り替えと縦のスピードを特徴とする選手を選んでいる。
同様にベンチにも目をやると、ライトナー、シャヒン、カストロ、ギンターといった、8番もしくは6番の選手が並んだ。