選手をスペインとイタリアに留学させる
2014年のブラジル・ワールドカップに出場する32カ国が決定し、開幕まで約7カ月と迫った。出場国は強化試合を推し進める一方、W杯出場を逃した国にとっては、次の2018年ロシア大会が大きな目標となるが、まだ先の話なのでピンとこない。
そんななか、ある東アジアの国が、ワールドカップ出場へ向けた改革をひそかに推し進めている。それが朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)だ。
北朝鮮代表が前回大会の2010年南アフリカW杯に44年ぶり、2度目の出場を果たしたのは記憶に新しいところだが、今年のブラジルW杯アジア予選は3次で敗退し、最終予選に進めなかった。その後、強化を推し進めているというのだが、10月末に某スポーツ紙にこんな内容のニュースが掲載された。
「北朝鮮が10~12歳の少年計31人をサッカー留学生として、本場イタリアとスペインに来月にも送り込むことが分かった」
北朝鮮がらみのネタは憶測で書かれることが多く、事実かどうかが判断しづらい場合が多い。同協会に確認する手段もないため、あたかも書いた内容のすべてが事実として伝えられることに違和感を覚える。今回はその事実を確認するため、朝鮮サッカー協会副書記長で、在日本朝鮮蹴球協会の李康弘理事長に話を聞いた。
開口一番、「スペインとイタリアに選手が留学する話は事実です」と語った。
「今回留学する選手たちは、今年5月に開校した平壌国際サッカー学校の選手たちです。10月末にスペイン・バルセロナの養成団体『フンダシオン・マルセ』で10~11歳の14人の選手が留学をスタートさせました。期間は1年と聞いています。
一方、イタリアには10~12歳の20人が留学することが決まりました。イタリア・ペルージャにある会社『イタリア・サッカー・マネジメント』と契約を結び、5年間、トレーニングを行う予定です。
もちろん、選手だけでなく、コーチの養成のプロジェクトも同時に行っていきます。今後、欧州だけでなく、ブラジルなどの南米にも選手を送る計画があり、そこから海外クラブでプロになった選手たちが、さまざまな経験を積み、将来的には代表の強化につなげたいという考えです」